人間の生存に必要なものはいくつもありますが、足りないとすぐさま命を落とすものは「空気」です。
サバイバルにおいて酸欠の危機に陥ることは少ないですが、ありえないことではありません。
最近も坑道に入った男性2人が酸欠で亡くなる事件がありました。
洞窟や廃坑などや、地下などに潜る際には「酸欠」に気を付ける必要があるのです。
酸素とは
空気中には、「窒素(約78%)」「酸素(約21%)」「アルゴン(約1%)」「二酸化炭素(約0.04%)」などが含まれています。
つまり、「酸素」は空気中の約21%を占める2番目に多い気体ということです。
この「酸素」が生き物たちに果たす役割はとても大きなものとなっています。
生き物たちは呼吸によって酸素を取り入れ、酸素を燃料にして生きるために必要なエネルギーを作り出すのです。

人間は酸素が無いと生きられないということですね。
また、酸素には「助燃性」という燃えるのを助ける性質もあります。



サバイバルでは、以下の2点だけ覚えておけばOKです。
- 酸素が無いと生きることが出来ない
- 「助燃性」がある
人間に必要な酸素濃度
空気中に含まれている酸素の割合を「酸素濃度」と呼びます。
人間は呼吸によって、酸素濃度約21%の空気を吸い込み、酸素濃度15%ほどの空気を吐き出しています。
血液中の酸素量が一定レベルを下回ると、立ちくらみ・めまい・卒倒などの症状が起き、さらに低下すると死に繋がる。
血中の酸素量が低下したときに引き起こされるのが「酸欠」です。
酸素濃度と危険度
空気中の酸素濃度が低下すると、数分で生命の危機に陥るので注意しましょう。
酸素濃度 | 危険度 |
---|---|
21% | 安全(通常の空気中の酸素濃度) |
18% | 安全の限界 |
16~14% | 火が消える |
12% | かなり危険 |
10% | 気道閉塞で窒息死 |
8% | 7~8分で死亡するレベル |
6% | 6分で死亡するレベル |
「標高が高い場所は酸素が薄い」は嘘


多くの人が勘違いをしているのですが、「標高が高いところは酸素濃度が薄い」というのは間違っています。
正確には、「標高が高いところは空気が薄い」という表現が適切です。
標高が高くなると空気が薄い、酸素が少ないと言われる理由は以下の通りです。
- 標高が高くなるほど、気圧が低下する
- 気圧が低下すると、空気の体積が大きくなる
- 空気中の酸素分圧(体積当たりの酸素量)が低下する
- 酸素が少なくて酸欠になる



富士山の頂上でも酸素濃度は21%です。
酸欠について
通常の空気の酸素濃度は21%ですが、閉所などでは酸素濃度が低い場所や、高所などの空気が薄い場所も存在します。
空気中の酸素濃度が低下した状態を「酸素欠乏」と呼び、酸素欠乏状態の空気を吸うことで「酸素欠乏症」にかかる。
酸素欠乏症とその症状


酸素欠乏症は、呼吸で取り入れる酸素の量が足りないときに引き起こされます。
酸素濃度が薄かったり、激しい運動などで十分な呼吸が出来ないといった状況で発症することが多いです。
人体の中で最も酸素を消費するのは「脳」のため、酸素欠乏症の影響を真っ先に受けるのは脳の「大脳皮質」となります。



酸素濃度と酸素欠乏症の症状の関係は以下の通りです。
酸素濃度 | 症状 |
---|---|
21%(通常の空気中の酸素濃度) | なし |
18%(安全の限界) | 頭痛など |
16~14% | 脈拍と呼吸数の増加、頭痛、吐き気 |
12% | めまい、吐き気、筋力低下 |
10%(気道閉塞で窒息死) | 顔面蒼白、意識不明、嘔吐 |
8%(7~8分で死亡する) | 失神昏倒 |
6%以下(6分で死亡する) | 瞬時に昏倒し、呼吸停止 |
酸素欠乏の原因
閉所などが酸素欠乏になるのには、原因があります。
- 物の酸化(酸素と結びつくこと)
- 植物由来の物の呼吸
- 有機物の腐敗や微生物の呼吸
- 人間の呼吸
- ガスの流入や滞留
上記の理由で空気中の酸素が消費されているのにもかかわらず、空気が換気されずにいると酸素欠乏が起こります。
密閉された部屋や地下室、坑道などの換気がされない場所は、酸素欠乏の危険性があるので気を付けましょう。



洞窟や地下には要注意ですね。
酸欠の対処法
酸素欠乏は命に係わる大きな危険の1つです。
酸素欠乏の対策は念入りに行うことが、自らの命を救うことになるかもしれません。
酸素欠乏への対処
- 換気を行う
- 酸素測定器を使用する
- 酸素呼吸器などの呼吸用保護具を使用する
- ろうそくや松明などの燃焼で酸素量の確認
酸素欠乏に関しては、ガスマスクなどでは対応できないので注意しましょう。
サバイバルでは、ろうそくや松明の火が燃えるかどうかで酸素量を確認する方法しか取れません。
もし、火が消えた場合は、酸素濃度が16%以下になっていますので、速やかにその場から離脱しましょう。
酸素欠乏症への対処


実際に酸素欠乏症になってしまった場合の対処方法を紹介します。



対処には優先順位があるので絶対に順守してください。
- 焦って無駄に酸素を消費しない
- 酸素が少ない場所から退避するor可能なら換気する
- 呼吸しやすい体勢で安静にする
- 深呼吸する
ますは、慌てずに酸素が少ない原因から解決しましょう。
酸素欠乏症の原因が解決出来たら、安静状態で深呼吸をして酸素をガッツリ取り込んで回復に励んでください。



酸素が無い場所で深呼吸をしたら死ぬので注意です。
酸欠対策グッズ・アイテム



最後に、酸欠対策グッズやアイテムを紹介します。
酸素スプレー
軽度の酸素欠乏症ならば、「酸素スプレー」を用いて体内に酸素を取り入れれば解決します。
酸素スプレーは、缶に充填された酸素をスプレーで噴射し、その酸素を吸入して体内に取り入れるものです。
- 酸素の純度が高いもの
- 容量が大きいもの
- マスク付きでしっかりフィットするもの
- 使用期限が長いもの
この記事では、上記の基準を満たしている、アマゾンのベストセラー1位の商品を紹介します。



私はコロナに罹って呼吸困難になることも考えて購入しました。
酸素濃度測定器
そもそも、酸素欠乏した空気が滞留しているエリアを避けることが、身を守る上で最善策です。
「酸素濃度測定器」は、空気中の酸素量を確認し、危険であればアラームで持ち主に知らせてくれます。
防水・防塵・防爆という優れた製品ですが、ぶっちゃけ出番が少ないので購入はおすすめしません。
ただ、空気が薄くなりやすい坑道や廃トンネルなどに入る方には命綱になるでしょう。
秩父の坑道に入って亡くなった方も、これを持っていれば助かったかもしれませんね…。
まとめ
- 酸欠(酸素欠乏症)は、酸素欠乏などにより、体内の酸素量が減ることで引き起こされる
- 空気中の酸素濃度は約21%で、18%を下回ると危険
- 頭痛、吐き気、脈拍と呼吸数の増加は酸欠のサイン
- 酸素濃度が低い場所で呼吸することはとても危険で、容易に死に繋がる
- 密閉された部屋や地下、坑道などの換気がされない場所は要注意
- 酸欠になったら、安静にして深呼吸などで酸素を多く取り込むようにする



酸欠は危険ですので、気を付けましょう。
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